学生時代に両親と死別した僕がエロマンガ先生に伝えたい事

先に断っておくが、これはエロマンガ先生とその関係者に具体的な配慮の手段などを提案するような建設的な意見などではない。

そもそも配慮せよとは思っていない。

ただ僕は、家庭環境にある悲劇を流通させて金儲けをしている連中の中でも極々一部、 否、ただ一人、伏見つかさという作家に対して、 控えめに言えば、健やかに死んでくれと、 インターネットの陰から、モニター越しに思うだけである。

僕にはこれについて素直な感想を言うくらいの大義名分はあるはずだ。

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俺の妹がこんなに可愛いわけがない

僕は高校に入学して間もなく、両親をなくし、紆余曲折を経て妹と二人で暮らしはじめた。 萌系フィクション作品にありあがちな正宗と似た環境に身を置いたのだ。

ちなみに、その妹は今では大企業の社畜として相当の高給取りだ。 過労死だけは心配だけれど、自慢の妹である。

今ここでその姿をネットに晒すのも吝かではないが止めておこう。 彼女はサイバーエージェントの女子社員くらいには キラキラな振る舞いが許される諸々の偏差値はあるのだが、 ヲタク趣味に傾倒する陰キャな面もある。 ブログメディアに例えると、アメブロではなく、その実、 はてなブログ寄りの地味さを好む。

きっと優秀な妹なら、余裕でサイバーエージェントのオフィスでダンスを踊ったり、 はてな社員として某氏に髪の毛が生えてくる魔法の茶の一杯くらいは出す事もできたに違いないし、 角川編集部にいたのなら谷川流先生だって嬉々としてハルヒの続編を書くだろう。

そんな貴重で稀有な人材である彼女は僕がリビングに置き忘れてしまった本、 俺の妹がこんなに可愛いわけがない の最終巻を読めば いい感じに気持ち悪がってくれる隙のない妹であるが、 さすがにその気持ち悪い兄にその姿をネットに公開されてしまっては 萌えない私刑を下すに違いない。

ここまで何が言いたいかというと、色々あったけど妹は百点満点で最高って事なんだ。 写真はアップしないけど、シェアお願いします。いや、SNS的なシェアの意味でね。

とにかく、伏見つかさ先生…この想い…君に届け

エロマンガ先生

エロマンガ先生アニメ11話見ました。 初代エロマンガ先生がぐりぐり動いてる様子に素直に射精感動です。

でもやっぱり一番に感動したのは我が子、我が母子をに丁寧にアニメ化していただいた 伏見先生ご本人なんじゃないかと思うと、僕は先生を許せません。

このもやっとした気持ちは何なのだろうか。

僕はもういい大人であるし、両親の話題について巧く交わす術を知っているし、 時としては対人折衝の武器としても使う事ができる。 同情や煽りを飲み込み消化する余裕がある。 そのくらいには、今では世の悲劇を楽しめる状態にあるけれど、 そう、何故かエロマンガ先生については釈然としない。

エロマンガ先生は、主人公である和泉正宗という中学生と戸籍上その妹 (二代目エロマンガ先生)にあたる小学生が、兄弟として、 そしてクリエイター、異性としてイチャラブする萌え系ホームコメディである。

母を失い、父子家庭にあった正宗。 一方の狭霧は夫と離婚した母を持つ母子家庭であった。そしてアニメでも共通して第一話のモノローグでは 正宗家が狭霧達を迎え入れるシーンから始まる。その後親権は正宗は叔母に移った事が示唆され、 回想にすら冒頭のエピローグ以降両親は登場しない。

両親をなくす

「両親をなくした」と言うのは、人の親であった人間が少なくとも二人ほど命を絶った、あるいはそれも同然の事情があるので、無いのか亡いのか無くしたのかについて、多くを聞かず語らせず察して欲しいという事だ。

一般家庭で育ったであろう人々の意味のない同情はただ疲れるだけであるというのもあるし、なんたってこの社会では大人になれば僕よりずっと深い傷を負った人でも、普段は平気な顔をして家族の事を話すことを強いられるようにできている。それは語り手だけではない。それを聞いた人間も相応の作法が試される七面倒な社会なのだ。

福祉や行政サービスを受ける上でもその面倒は避けられないし、上司、警察、弁護士、不動産屋にすらそれを明かさないといけない事もある。

先生知っているか?亡くなった両親は過去を回想しない。

感動ポルノ

トラウマを背負う人間は不要に他人にそれを回想させたりしない。

エロマンガ先生に、感動ポルノというパワーワードが話題になって浮き彫りにされた24時間テレビの構造問題と同じやつを感じた。

障害を乗り越えようと葛藤してきた人の心を正義面で 踏み付けてまで成り上がろうとするのがどうも鼻につくアレだ。

あれって説得力だとかの創作者が必要とされるテクニカルな部分を 他人の不幸をダシに同情を誘って埋めようとする頭の悪い明け透けな態度に思えて気に入らない。

そのあたり、アニメ11話を視聴してようやく気がついたけど、 これが原作読了から感じていたモヤモヤの正体だったんだなと。

これってつまり、プログラマで言えばオープンソースプロジェクトのコードをコピペして商売してるものですよ。 ライセンスクリアす ればいいかって問題じゃなくてね、ビジネスとして対価を得ようとするなら少し慎重に、真摯に取り組むべきだぞと。

悲劇やコピペを否定するつもりはないよ。 むしろそれってそれぞれ業界の発展に寄与してきた文化みたいなものだから。

作家の真摯さが何たるかを考えるのは僕の仕事じゃないから方法論は語れないけど、 同じscript writerとして考えるべき問題だと思う。 それが楽に手っ取り早くお金を集める方法だとも分かってる、だからこそ。

エロマンガ先生、好きです