エロマンガ先生 9巻 謎めいた家庭環境が明かされる

エロマンガ先生9巻発売していたんですね。iBookで購入してiPadから読みたいと思っていたものの、どうやらストアに並ぶのは時間がかかりそうだという事で待ちきれずに近所の書店で購入。

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アラサーのオッサンがこれを持ってレジに並ぶ光景はなかなか気持ちの悪い絵面だったとか。

さて、ネタバレになりますが…

9巻はズバリ、甘いラブコメ、そして家族構成の説明巻

狭霧への正宗のプロポーズから彼氏彼女のお付き合いが始まり婚約を結ぶまでの過程で、これまでベールに包まれていた和泉家と狭霧家の両家にあるハードな家庭事情がセリフあるいは独白として主人公である正宗と叔母である京香からようやく読者に説明される。

正宗と似た厳しい家庭環境にあった僕自身、モヤモヤした気持ちで作品を見ていたので、9巻で少しばかりスッキリしたかなと。ただそれは概ね予想の通りに的中したという意味でだ。

血の繋がらない兄妹二人が同じ屋根の下に住まうまでの経緯

  • 正宗の父、虎徹とその妹の京香には子供の頃から両親がいない
  • 京香は正宗の実母である近藤志保/和泉志保と旧知の仲であった
  • 正宗の実母である近藤志保は交通事故で他界
  • 和泉虎徹と狭霧の母である初代エロマンガ先生は新婚旅行中に亡くなった
  • 京香はそれぞれ子持ちの男女を引き合わせ再婚のきっかけを作った一人
  • 狭霧の父は存命であるが疎遠である

商魂の逞しい先生らが、読者を引き付けるため、そして舞台装置について読者の納得を得るためだけにこうもリアルに人を殺し、面白可笑しい作品を創っているのだとしたら一発ぶん殴ってやりたい。そんな気持ちでいっぱいになる。

やはりエロマンガ先生は感動ポルノだ

僕は別の記事でも書いたが、正宗と似た経験をしている。決して同情を誘うつもりはないが、家庭環境ハードモードだった僕と兄妹はこの作品にも見え隠れする苦難を乗り越え、それに伴う何かと戦ってきたつもりだ。だからこそ、それが悲劇として感動の呼び水にされるのならば、真摯に作品作りに取り組んで欲しいと思う。

例えば、24時間テレビ聲の形ではハンディキャップを背をった人達への配慮として、それが全員へ伝わったかは疑問ではあるものの、それに携わる製作者の気持ちの隅にはあったように思う。少なくとも募金という金銭面での援助、コンテンツ配信の在り方にそれが見られた。だがエロマンガ先生、この作品はどうだろうか?

伏見つかさ先生とその作品作りに携わる人たちは僕が知る限り、売上と話題性のためならなんでもやるような人だと思っている。それは前作の作風やメディアミックスの在り方、今作の現況を見れば明らかで、それが僕の中にあるモヤモヤの原因の一つであることは確かだ。

物語も終盤となった今、先生らに何ができるのか、そして今僕が何を期待しているのか、正直分からない。ただ思うのは彼らはこれについて悩むべきである。悩んで欲しい、そう感じている。

そもそも現段階ではコメディを正当化するための悲劇でしかない。 10巻をまた複雑な思いで待とう。